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コラム

寒い家は健康リスクが高くなる~健康に暮らすための住まいの知識~

●家で健康を保てる温度は21℃

「家の中が多少寒くたって、上着を着れば良い」「暖かいところばかりにいたら、体がなまってしまう」などという言葉を、ときどき耳にします。もちろん個人の感覚に合わせて、着衣量で寒さや暑さを調整するのは間違ったことではありません。また、北国と比べて南国に暮らす人の方が、体がなまっているということは聞いたことがありません。

人の健康にとって、室温は大いに関係があります。理想は21℃以上とされており、室温が下がれば下がるほど健康リスクは高まります(図-A)。一般的に16℃で呼吸器障害や心疾患が、10℃まで下がると高齢者に低体温症が表れるといわれています。こうしたことから、ヨーロッパでは多くの国が、最低室温を18℃~20℃と規定していますが、日本では残念ながら住宅に対してそのような室温基準はありません。しかし、病院では24時間冷暖房で一定温度を保つように規定があり、オフィスでも労働者のための環境基準として、空調設備がある場合は17℃以上28℃以下にすることが明文化されています。

 

●体温が上がれば免疫力もアップ

なぜ、室温が低下すると健康リスクが高まるかというと、血液の循環が悪くなるからです。寒い家では抹消血管が縮小するので血流が減少し、血行が悪くなります。手足など体の末端まで十分に血液が行き届かないため、体温はそれほど低くないのに手足の指先が冷えた状態になり、いわゆる冷え性になります。また、血流が減ることで血圧が上がり、高血圧や脳血管疾患などのリスクも高まります。室温低下に対して、特に60歳以上に影響が大きいことが分かっています(グラフ❷)。

 

反対に温度が上がると、抹消血管が拡張するので、血流が増し、血行が良くなります。すると体温が上がり、免疫力がアップするので、風邪をひきにくくなるのです。血圧も下がるので、糖尿病も改善するという結果も出ています。グラフ❸は、実際に寒い家(低断熱)から暖かい家(高断熱)に引っ越した人の健康改善を実証したものです。また、断熱改修したことで、さまざまな症状が改善したという結果もあります(グラフ❹)。