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コラム

CASE_08 職住一体の 住まいと暮らし~地域の暮らしを楽しむ住まいのアイデア~

 

 

 

 

 

 

「松ケ原レモンの家」の南側外観。建物の左側、平屋部分が事務所。右側の2階建て部分が自宅。2棟をつなぐのは、デッキテラスと応接室を兼ねたライブラリー

 

■Data 【松ケ原レモンの家】
所在地:大竹市
家族構成:3 人(夫婦+子ども1 人)
敷地面積:922.91㎡ 延床面積:198.75㎡
1 階面積:145.76㎡ 2 階面積:52.99㎡
断熱性能:0.36W/㎡・K 気密性能:0.5㎠ /㎡
設計:西本浩司 施工:中川建設

 

広島県大竹市は、沿岸エリアの温暖な気候から山間部エリアの冬の寒さの厳しい気候まである地域です。そんな大竹の標高約200m の山間部に建つ「松ケ原レモンの家」は、周囲の田園風景に溶け込むような優しい佇まいです。以前N様は、本社のある岩国市に住んでいましたが、自然豊かな環境が気に入り、この土地を購入。自宅を建てると同時に事務所も併設し、職住一体の暮らしを始めました。

「インターネットさえつながっていれば、どこにいても情報が得られますし、仕事もパソコン1台で成り立つ時代です。これからは、田舎に暮らしながら、仕事をするというライフスタイルを選択する人も出てくるでしょう。自然の中で四季を楽しみながら子育てするのも良いものです。この家を通して、そんな暮らし方があることを伝えたいと思っています」とN様。

N様の憧れの建築家、アントニン・レーモンドの自邸にならって、自宅と事務所をテラスでつなぐ設計。デッキテラスでは家族や社員とランチを楽しむこともできる。また、エネルギーの自給自足を目指して、屋根には太陽光発電を、日当たりの良い庭先には太陽熱温水器を設置している

 

【仕事でも使える応接室&ライブラリー】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玄関ホールの延長につくったライブラリーは、仕事の打ち合わせスペースや応接室としても活用している。細い丸太の骨組みと繊細な障子の組み合わせは、アントニン・レーモンドスタイルにならっている

 

【手づくり家具と自然素材に囲まれて】

 

 

 

 

 

 

1階リビングのテレビボードやソファは造作家具。ダイニングにはアーコールのアンティークバタフライテーブルとN様が集めた名作椅子が並ぶ。築100年の古家からリサイクルした古材を使ったオリジナルキッチン。自分たちの好みや使い勝手に合わせて、つくることができるのは工務店の強み

 

【窓際を一番心地良い場所に】

 

 

 

 

リビング南東の角につくった窓際のソファは、リラックスできる場所。障子は壁の中に引き込めるため、昼間は窓を全開にして外の景色を楽しむことも。樹脂窓のため、冬でも窓際が寒くならない。天気の良い日は、ひなたぼっこに最適

 

冬には雪が降り、氷点下になることもある松ケ原町。冬の間は灯油ストーブやファンヒーターがフル稼働するので、暖房代がばかになりません。そこで松ヶ原レモンの家では、エアコン1台で家全体を暖めるように工夫しています。エアコンは壁ではなく、テレビ台の下に設置し、床下に温風を吹き込みます。温風は、床下を暖めながら、各所の吹き出し口から各部屋に排出され、ほんのり足元から部屋を暖めます。また床下に冷気がたまらないので、床が冷たくなることもありません。ただし、この手法は、床下(基礎)をしっかり断熱しないと効き目がないので注意してください。

また、いくらエアコン1台にしても、エネルギーをどんどん使っていては本末転倒。断熱性と気密性を高めて、外の冷気が部屋の中に入ってこないように、部屋の暖気が外に逃げないようにして、少ないエネルギーで暖房できるようにしています。その成果もあって、寒い日でもエアコン22 ℃設定で、家全体を20℃前後に保つことができたそうです。

 

●松ケ原レモンの家の暖房の仕組み

 

 

 

 

テレビ台の下にエアコンを設置(写真左)                        パッシブ換気の煙突(写真中)換気給気口と排気口(写真右)

 

●松ヶ原レモンの家 2017年の電気代

 

 

 

 

※暖房はリビング設置エアコン1台のみ、稼働時間17時~8時(15時間)、くもり・雨の日は日中も稼働 ※冷房はロフト設置エアコン1台を24時間稼働し、暑さが厳しい日中のみリビングエアコンを稼働 ※太陽光発電による自家消費あり ※給湯はガスで行っている ※電気契約種別:従量電灯A

 

★レモンの技 雨の日がうれしくなる工夫

松ヶ原レモンの家では、雨樋にバイパスをつくってステンレスのドラム缶に雨水を貯めています(写真左)。貯めた水は、家庭菜園に利用しているそうです。一方、南側の軒には雨樋をつけずに雨水は地面に落としています。雨の日に窓の外をみると、屋根から流れ落ちる雨がなんとも風情があるのだとか。なお、雨水が地面に落ちたときに跳ねないように砂利を敷いて受け止めています(写真右)。