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コラム

地震に耐える家の「本当の強さ」とは~安心・安全に暮らすための住まいの知識~

どうすれば地震が起きても被害を抑え、家族や財産を守れる家が建てられるのでしょうか? その対策は、ある意味単純明快です。

『耐震強度>地震力』が成り立つようにしてあげればいいのです。地震が家を倒そうとする力より建物の耐震強度が強ければ、建物は倒れません。住宅の耐震性能を見分ける目安として「耐震等級」があり、基本的には耐震等級の高い家は地震に強いということになります。しかし、耐震等級の数字をやみくもに信頼していいかというと、そうではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建築基準法の仕様規定をクリアしており、耐震等級が同じでも、明らかに右の建物のほうが大きく揺れている。右のように吹き抜けを大きくつくった場合、その分、水平構面の補強を考慮する必要がある

 

上の写真をご覧ください。数字上の耐震等級は左右の建物で同じでも、揺れ方に違いが生じます。2つの建物の違いはただ1つ、吹き抜けの形とその大きさです。つまり、段ボールの蓋の部分、水平構面の強度の違いです。建築基準法の仕様規定では水平構面を計算しなくていいため、書類上は同じ強度の建物でありながら、本当の強さは違ってきます。

もちろん、吹き抜けがいけないというわけではありません。開放的で心地良い空間をつくるのに、吹き抜けは欠かせない存在です。吹き抜けで「穴」ができてしまったなら、その弱点をしかるべき方法で補強すればいいのです。水平構面の補強の方法や材料だけでも、左ページのようにさまざま。耐震等級を1つの目安にしつつ、実際にどんな方法で補強されるのか理解しておくことが、本当に地震に強い家づくりにつながるのではないでしょうか。

 

【補強の方法あれこれ】

●構造用合板

床や壁、屋根など構造耐力上主要な部分に使う合板で、強度を持たせるために一般的に使われている。決まった釘の種類や本数を守って施工すれば建物の強度が上がる

●アミパネル

 

 

 

構造補強しながら、通気層を兼ね、屋根下地の機能を持つという一石三鳥の素材。耐力壁としての十分な強度があるため、筋交いが不要になる場合もある

 

●火打ち

 

 

 

地震などで発生する水平力による変形を防止するために設ける斜材。昔ながらの木製のもののほか、写真のような鋼製の火打金物も増えてきた