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コラム

火事に備えておくこと~安心・安全に暮らすための住まいの知識~

安心・安全な家を建てるにあたっては、火事に対する備えも大切です。住宅の火災は年々減少傾向にありますが、それでも年間1万件以上発生し、900名以上の尊い命が失われています。原因別では「たばこ」・「ストーブ」・「家電」・「コンロ」の順で、不注意による出火がほとんど。家電のショートによる火災以外は、実際の火種が家の中にあり、それが布団やカーテンなど布製品に燃え移り、燃え広がって起こっています。

2番目に多いストーブからの出火については、家づくりの段階で対策が可能です。それは、高気密・高断熱の家をつくること。気密性が高く断熱性能の優れた家なら、石油ストーブを使わずとも、エアコンだけで室内を十分暖めることができるのです。

火災による死亡者数を年齢別に見ると、65歳以上の割合が66%以上と多くなっています。高齢者は火災に気づくのが遅れたり、逃げ遅れたりと、対処のスピードが遅くなりがちなことが原因。これに対しての対策も考慮してみましょう。古い木造建築の場合は、隙間が多いため燃焼に必要な酸素が送り込まれやすいのです。天井・壁・床などに燃えやすい素材が使われており、燃え広がるのが早い傾向にあります。出火から7~8分で一気に1200℃程度まで燃え上がり、15分程度で燃え尽きてしまいます 一方、最近の木造住宅は気密性が高い上に、石膏ボードなどの不燃材を使うことが多いため、800℃程度までしか上がらず、火災継続時間も30分以上にまで長くなっています。燃え上がるのに時間がかかれば火災を早く発見でき、燃え方がゆっくりであれば、高齢者も避難するための時間が確保でき、逃げ遅れる危険性が減らせます。