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コラム

広島は地震も津波も心配いらない?~安心・安全に暮らすための住まいの知識~

 

 

 

 

 

 

 

こんな言葉を耳にしたことはありませんか?「広島は地震の心配がない安全な地域だ」と。たしかに、中国地区地震発生確率分布図(図❶)を見る限り、大地震の発生確率は大部分が3%以下です。

しかし、それで安心しても本当に大丈夫でしょうか? 例えば2016年に起きた熊本地震の場合。2008年の九州地区地震発生確率分布図(図❷)では、熊本の地震発生確率は3%以下でした。ところが2014年版(図❸)では地震学や技術・科学の向上により新たな地震の危険地帯が見つかっており、実際その危険性が現実のものとなってしまったのです。

広島もよく見ると、瀬戸内海沿岸の街には地震発生確率の高い地域が点在しています。ニュースでは甚大な被害規模が予想されている「南海トラフの巨大地震」がよく報じられていますが、活断層を震源とした直下型地震にも警戒する必要があります。私たちの住む広島にも、いくつもの断層が確認されているのです(図❹)。どの断層が動くかによって影響が出る地域は異なりますし、複数の断層が連動して動いてしまうかもしれません。まだまだ、地震を完全に予測するのは不可能といえるでしょう。

地盤の状態にも注意が必要です。広島には豊かな川が流れていますが、川の流域は三角州が多く、いわば一般的な地盤より弱い地盤。地震時に揺れやすい性質を持っています。建築基準法でも軟弱地盤では耐力壁を1.5倍にしなさいとあります。そういった観点からも、広島で家を建てる場合に、地震対策を怠るわけにはいかないのです。